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10月7日(月)〜10月10日(木)まで休診とさせて頂きます。

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  • 21世紀の歯科治療には、「削る・詰める」に加えて、「防ぎ・守る」歯科治療の実践が求められています。
    愛媛県歯科医師会で開催されました、学術講演会で大阪大学の天野敦雄教授の講演を聞いて感銘を受けたのでブログに記載していきたいと思います。
    みなさんはバイオフィルムという言葉をご存知でしょうか。
    お口の中の歯と歯茎(はぐき)の間の溝を歯周ポケットと呼びます。健康な歯茎では3㎜程度ですが歯周病に罹患すると歯と歯茎の間の溝が深くなり5㎜以上の深い谷間ができます。そこは歯周病菌にとっては居心地の良い場所です。
    バイオフィルムとは歯垢(プラーク)ができているところ、細菌がうじゃうじゃ(沢山)いるところ、細菌の集落(住居)のことを指しています。
    口の中の細菌は、腸内細菌と同様に善玉菌(よい菌)、日和見菌(どっちつかずの平和な菌)、悪玉菌(悪い菌)が存在しています。平素はその均衡が保たれていて、平穏な毎日を送ることができているのですが、口の中の環境が変わるとある時を境に善玉菌が減って、日和見菌の一部が悪玉菌へと変わって、悪玉菌の量が増えると、バイオフィルムの変化(マイクロバイアルシフト)が起こり高病原性の悪玉菌が増えます。
    悪玉菌が増えると歯茎の状態が悪くなり症状を訴えるようになります。
    口内細菌は赤ちゃんがお母さんのお腹にいる時から、羊水内の細菌に感染して、産道内でも細菌感染します。
    また、口腔細菌叢は分娩時に肛門が近いこともあり形成を開始します。
    そう、虫歯は母子感染します。
    虫歯の原因菌はショ糖(砂糖)が原因と言われて来ましたが、ブドウ糖や果糖、調理でんぷん(ごはん)などでも虫歯になることが分かっています。これは歯は通常PHが5.5くらいの中性なのですが、食べ物や(歯垢)プラークの付着によりPHが酸性になると歯を脱灰していくからです。コーラはPH2.2です。強烈にスカッと喉越し爽やかですが、一気に酸性になりそのまま放置すると歯が脱灰(溶ける)しますので、飲んだらうがいをすることをお勧めします。
    ご飯粒などが歯間部に残ったままですとPHが徐々に酸性になって、歯が脱灰され虫歯になります。
    食後は3分以内に歯を磨くように心がけましょう。毎食後磨くのがよいですが、難しい場合は、朝と昼は食べかすを落とす程度で夜しっかりと時間をかけて歯磨きをするようにして下さい。24時間以内に歯垢(プラーク)を落とすように心がけていれば虫歯への感染リスクはぐっと減ります。歯磨きの際には歯間部に磨き残しがないように磨いてください。
    虫歯予防にはフッ素入りの歯磨きペーストを毎日使うのが効果的です。アメリカでは水道水にフッ素が入っているので虫歯の罹患率は極端に少ないですが、日本ではそうではありません。セルフケアもしくは歯科医院で定期的にフッ素を塗って虫歯予防していく必要があります。
    虫歯菌の発生から予防についてご説明してきましたが、では、歯周病菌はいつ、どのようにして私たちの口の中に感染するのでしょうか。歯周病菌は中学生くらいまでは口の中に定着していないことが分かっています。
    歯周病菌は人から人へ唾液感染してうつります。アメリカでは教科書にも歯周病菌はパートナーからのキスで唾液感染してうつると明確に記載されています。その時の口の中の状況にもよりますが、歯磨きをした後など歯垢(プラーク)の量が少ない状況下ではうつりにくいと言われています。
    また、直箸(じかばし)で唾液感染することも知られています。大皿に盛ってある料理を取り分ける時、鍋料理を取り分ける時などには、取り分け用の箸を使ってください。家族、友達、同僚など「親しき仲にも礼儀あり」という諺(ことわざ)が当てはまります。
    そして、最近ではペットを飼われている方が多いかと思われます。ペット(犬、猫)ペロペロ顔を舐めてきて愛嬌たっぷりでかわいいのですが、ペットからも歯周病菌がうつります。また飼い主(人)からペット(犬、猫)へ歯周病菌がうつることも知られています。
    歯周病菌は歯周ポケットなど空気に触れない場所を好みます。歯周ポケット奥深くは歯ブラシの届きにくいところでもあります。完全に排除できそうもない場所に生息しています。歯周病菌にも種類があり、最も悪さをする悪玉菌はP.g菌(ポロフィロモナス・ジンジバリス)と呼ばれています。かなり強い毒素を持っています。
    どのくらい強いのかと言いますと、口の中では歯茎の腫れや出血、排膿(膿をだす)などを引き起こします。血液を介して全身に影響を及ぼし、歯周病菌が原因で心臓病や脳梗塞、糖尿病などを引き起こすことが知られています。そうなんです歯周病が原因で命の危険にさらされることが分かってきました。そのくらい悪玉菌(P.g菌)は毒性が強いのです。
    P.g菌は血液中の鉄(赤血球ヘモグロビンのヘミン鉄)が大好き。歯周病による歯茎からの出血を栄養源としてどんどん増殖していきます。歯茎が腫れているところは、歯周ポケット内は潰瘍形成により出血しやすくなっているのでP.g菌にとって天国のような環境です。
    一度、口の中に定着してしまった歯周病菌は残念ながら、排除することはできません。だから歯周病は成人病に指定されているのですね。排除はできませんが、歯周病菌をコントロールして悪玉菌を増やさないことはできます。
    歯科医院に通って歯周病ケアをしているのはそのためです。歯科医院でプロフェッショナルケアをすることで歯垢(プラーク、バイオフィルム)が取り除かれ、悪玉菌の増殖を防ぐことができます。
    善玉菌、日和見菌、悪玉菌の割合が均衡して保たれていれば、病原性が高くなることはないでしょう。
    歯周病菌で悪さをするのは悪玉菌であるP.g菌が増殖するからである事が分かりました。
    次に飲酒や喫煙と歯周病の関係についてですが、
    お酒やタバコは歯周病を悪化させます。まずお酒ですがアルコールは肝臓で非常に強い毒性を持つアセトアルデヒドへと代謝されますが、
    アセトアルデヒドは歯肉を弱体化させ、歯周ポケット内の出血を増やします。
    P.g菌は出血環境を好みますから、どんどん増殖して歯周病が悪化します。
    タバコを吸っている人は、吸わない人と比較して4倍歯周病が重篤化しやすいです。煙草に含まれる化学物質(ニコチンなど)は出血量は少なくなりますが、細菌の塊であるバイオフィルムを硬くするので歯磨きをしてもバイオフィルムが落ちなくなり結果として歯茎の抵抗力が弱まりp.g菌が増殖しやすい環境となります。
    タバコの煙は吸ってから1時間は持続すると言われています。受動喫煙でも同様の結果を伴いますので、周囲にタバコを吸われる方がおられましたら、吸ってから1時間は別部屋で隔離していた方が身の安全と言えるでしょう。
    歯周病で困った症状の一つが口臭ですね。口臭の臭い物質は揮発性硫黄化合物です。口腔内細菌であり主に歯周病菌が産生します。
    卵が腐ったような臭いの元は硫化水素であり、野菜が腐ったような臭いの元はメチルメルカプタンです。
    この口臭物質である硫化水素やメチルメルカプタンは歯周病を悪化させます。毒性が強く、青酸ガスに匹敵するそうですので
    匂いを嗅ぐのも命がけといったところでしょうか。
    歯科医院で歯周病治療(プロフェッショナルケアやSRPなど)をすることによって、また舌の清掃をすることによって口臭を徐々になくしていくことができます。
    口臭の原因にも悪玉菌であるP.g菌が関与しています。
    定期的に歯周病治療を行い、P.g菌が増殖しないようにコントロールしていくことの重要性が分かっていただけたのではないかと思います。
    まとめになりますが
    21世紀、令和のキーワードの一つとなるでしょう。「体の健康は歯の健康から」です。
    悪玉菌である毒性の高いP.g菌をコントロールすることで血液を介しての心疾患や脳梗塞、糖尿病などを防げるとしたら
    医科への受診も減るでしょう。
    中矢歯科医院はこれからも歯周病治療を提供することで皆様がますます健康で長生きできるように、そして楽しい人生を歩めますように皆様のお口の健康をサポートしていきます。
    今後とも、中矢歯科医院をどうぞよろしくお願い致します。
                                         院長 中矢賢史
    追記
    歯周病に伴う歯および歯茎に起こる症状
    ●歯茎(はぐき、歯肉)から血が出る。
    ●歯茎が腫れる。
    ●歯がぐらぐらする。
    ●歯茎が下がって歯が伸びた気がする。
    ●歯茎の色が悪い。青紫色している。
    ●歯茎がむずかゆい
    ●物が噛みにくい。
    ●冷たい水などで歯がしみる。
    ●歯石がたまっている。
    ●歯茎から膿(うみ)が出る。
    ●歯茎が浮いた感じがある。
    ●口臭が気になる。
    歯周病治療には、歯周基本治療(スケーリング、SRP)、歯周外科治療などがあります。最近では歯槽骨が吸収して、一部の歯周ポケットが深くなってしまった場所へ歯周組織再生薬剤をフラップ手術時に補填して歯周組織の再生を促す治療もあります。
    また、歯周病治療に終着駅はございません。歯茎が健康な状態に改善されたら、それを維持していく必要がございます。
    歯周治療に対する考え方、治療方法は歯科医師により異なりますので、ご不明な点は歯科医師に相談して頂ければ幸いです。
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